• Share to Facebook
    • Twitter
    • Email
    • Print

June 2, 2014

日本でも”cruelty-free”な化粧品を

The Japan Times

  • Be Cruelty-Free Japan. HSI

橘高 ルイーズ・ジョージ

THE JAPAN TIMES特別記事

日本において、化粧品は一大産業である。消費者は、テレビ、インターネット、雑誌、街頭広告やさらには車内広告において、常に最新の商品に関する宣伝にさらされている状態である。日本が世界で二番目の規模を誇る化粧品市場を有することに、誰も驚きはしないであろう。

日本の消費者は肌をより滑らかにし、髪の毛により艶を出す製品を求めてやまないが、自分たちの化粧品ポーチに入っている製品の裏で行われている恐ろしいことについて知っている消費者は比較的少ない。化粧品の原料の試験が未だに生きた動物に実施されているという事実は、日本では、最近まではうわべだけの関心ごとであった。しかし、昨年ヨーロッパにおいて動物実験の規制が変わったことにより、日本でも規制当局や化粧品企業らが、後に続くために取り組みを強化している。

先月、化粧品の動物実験の禁止に関連した世界的動向に関する情報と日本の今後の方向性を共有するために、国会議員、科学者や動物保護団体の関係者の集まりが開催された。この勉強会における演者の一人はヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナル(Humane Society International, HSI)の研究・毒性学部門のディレクターであるトロイ・サイドル氏であった。動物を使用しない試験方法の普及に取り組んでいる世界最大規模のNGOとして、HSIは政府、立法者、企業及び消費者とこの問題に取り組むにあたって、鍵となる役割を果たしている。

サイドル氏によると、昨年3月、ヨーロッパが「化粧品に関してはcruelty-free(動物に苦痛を与えない)」になったことにより、これが世界の基準となった。

サイドル氏の説明によると、「ヨーロッパの化粧品の動物実験禁止には、二つの段階がある。欧州経済共同体では、動物実験の実施自体が禁止されている。さらに、20133月以降、新たに動物実験が実施された化粧品及びその原料の輸入・販売も禁止されている。」

イスラエル、インド及びブラジルのサンパウロ州は、ヨーロッパの後に続いた。アメリカ、ニュージーランド及びオーストラリアにおいても、似たような法案が提出されている。

日本の主要な化粧品企業の一つは既に取り組みを開始している。ヨーロッパの規制改正に伴い、資生堂は20133月に原則動物実験を廃止したことを発表した(海外から輸入された化粧品に対して動物実験が義務付けられている中国への輸入を除く)。

資生堂の広報部の廣田智氏は、「グローバルな企業として、これが化粧品産業の将来の姿であると思う」とコメントしている。「動物実験の代替法の進歩と、動物の権利に対する意識向上が、cruelty-freeに向けた運動に拍車をかけた。」

動物実験を終わらせることを発表した際、日本の消費者の反応は「驚くほどポジティブなものであった」と廣田氏は付け加える。

ミス・アプリコット、ディーフィット、生活の木等、中小規模の国内企業にはすでにcruelty-freeなものもいくつかあり、またラッシュやザ・ボディショップ等、日本で人気のある海外企業にもcruelty-freeなものがある。

1990年代中盤に英国で設立されたラッシュは、1999年に日本に初出店し、今では日本全国でカラフルな手作りの入浴剤、ヘア・ケア製品やスキン・ケア製品を販売している。2012年には、HSIと共同で、動物実験に対する消費者の意識向上を目指すBe Cruelty-Free思いやりのある美しさキャンペーンを世界中の12か所の市場で開始させた。

ラッシュジャパンのチャリティー・キャンペーン スーパーバイザーの秋山映美氏は、HSIの日本のコンサルタントと協働体制をとり、今年初め、日本におけるBe Cruelty-Free思いやりのある美しさキャンペーンの開始に携わった。化粧品の動物実験について、日本の一般消費者を教育することは難しいと指摘している。

「日本とは異なり、ヨーロッパでは、動物実験の法令を改正するための運動を先導したのは消費者であった」と秋山氏は言う。しかし、ラッシュのcruelty-freeな化粧品に対するコミットメントを支持してくれる消費者や入社希望者は徐々に増加している、と状況が好転していることも付け加えた。

欧米においては、動物が死ぬまで化粧品を強制的に喉に流し込んだり、化学物質を動物の目や毛を剃った皮膚に繰り返し付ける等の試験をやめさせるべく、動物好きの消費者がロビー活動を開始した1970代がcruelty-freeの運動のはじめとされている。ペットブームが沸き起こっており、多くの飼い主が自分のペットを大切な子どものように扱っている日本で、何故実験に使われる動物に対する声が上げられてこなかったのであろうか。

最近、ラッシュジャパンが資金提供をし、HSIが協力して実施された、化粧品の動物実験に関するオンラインのアンケート調査によると、化粧品の動物実験について聞いたことがあると回答した割合は30%で、代替法の開発を進めるべきであると回答した割合は85%であった。

HSIの日本コンサルタントの山﨑佐季子氏は、「一般的な市民が社会の変革を求めて活動するという機会があまりない日本においては、何事においても社会意識そのものが決して高くない」と指摘する。「日本社会で成功するためには、波風を立てずに長いものにはまかれるという考え方が強い。」

山﨑氏は、現状を変えるためには教育が鍵となると言っている。

「まずは、動物実験自体とグローバルなレベルでこの課題に対する意識が変化していることについて、消費者に知ってもらう必要がある。情報がなければ、自分の立場を表明し、製品を購入する際、意識的な選択もできない。」

サイドル氏も、消費者が一定の影響力を持つと考えている。

「消費者が動物実験されている製品を買うと、その企業に対して『よくできました、どうぞ製品を製造することを続けてください』と言っているようなものである」と単刀直入に説明している。しかし、消費者と化粧品企業は四つある側面の二つを構成するものにしか過ぎず、残りの二つの側面である規制当局と科学者も検討する必要がある。

「動物の苦しみを終わらせるために、一般消費者に訴えかけるというだけの作業ではない。政策立案者や研究機関と対話し、既に開発されている代替法について検討し、世界的動向に沿った国内政策に向けて取り組むことが求められる」とサイドル氏が言う。

EUの化粧品の動物実験禁止の副作用の一つとして、安全性試験において、動物を使わない方法を開発し評価するための公的及び企業の助成金が急激に増加したということが挙げられる。今日、このような研究により、1940年代に開発された動物を用いた方法を凌駕する、最先端のヒト生物学を基盤とした試験方法が開発されており、動物を用いた試験はこれらの最先端の方法に取って代わられることとなる。

例えば、現在は、皮膚刺激の試験のために、ウサギではなく再構築されたヒトの皮膚モデルを使うことができる。また、日光による光毒性の試験のためには、モルモットではなく高速の細胞試験を用いることができる。これらの方法は、有用性が科学的に評価され、世界中の健康関連の規制当局により、受け入れられている方法である。

あまり知られていないかもしれないが、日本にもこのような課題に対応するための機関が既に設立されている。日本動物実験代替法評価センター(JaCVAM)は、化学物質を評価するための動物実験において「3R」に焦点を当てた取り組みを実施することがその使命である:これらは、使用動物数を削減すること(reduction)、動物の苦痛軽減と動物福祉を促進すること(refinement)、動物を使用する試験を、動物を用いない代替法に置き換えること(replacement)である。

日本動物実験代替法評価センターは2005年に設立され、国立医薬品食品衛生研究所内で小島肇氏のもと運営されている。

「正直に言うと、今まで日本の化粧品業界は、代替法のcruelty-freeな側面にあまり関心を示さなかった。多くの企業が、ヨーロッパの化粧品の動物実験の禁止がこんなにも早く実現されると思っていなかった。しかし、今それが実現され、日本も新たな時代に参入することになる」と小島氏はコメントしている。

小島氏は、前進するためには、規制当局、研究者及び企業が情報交換をすることが必須であると指摘している。

「日本動物実験代替法センターでは、様々な関係者間での対話を促進している。代替法に対する関心が高まれば、企業と規制当局双方から、研究に使える資金がより多く提供されるようになる。こうなると、遅かれ早かれ、日本でもまずは化粧品の動物実験が禁止され、それから動物実験の規制が他の領域でも広がると考えている。」

同様に、サイドル氏も日本において、安全性を損なわずに化粧品の動物実験を終わらせることができるとコメントしている。「過去に試験が実施され、今後新たに動物実験を実施せずとも安全に使用できることがわかっている既存の原料が8,000以上もある。薬用を謳っていない化粧品においては、ほとんど新たな原料は開発されていない。日本においては、ほとんどの新たな原料は、日焼け止めや美白クリーム等、『医薬部外品』に分類されている製品のために開発されている。」

HSIの日本コンサルタントの山﨑氏は、最新の動向により、自国においても動物実験禁止の気運が高まることを願っている。

「動物福祉、国際貿易、科学技術の革新。関心を持つ理由は何でも良い。動物だけにプラスになることではなく、人間にとってもプラスになる課題である。」


HSI Be Cruelty-Free 思いやりのある美しさキャンペーン

キャンペーンについてはこちら: www.hsi.org/issues/becrueltyfree/be_cruelty_free.html.

 *この記事は、201462日にThe Japan Timesに掲載されたものの非公式訳です。英文のオリジナルの記事は、下記のリンクからご覧になっていただけます。

http://www.japantimes.co.jp/community/2014/06/02/issues/japan-urged-make-cosmetics-cruelty-free/#.U45wUHJ_vTo

記事についての感想等はこちらへ: community@japantimes.co.jp

  • Sign Up
  • Take Action
  • Be Cruelty-Free の誓約に署名する の誓約に署名する