美しさのために失明させられるウサギたち

ヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナル


  • istock

ウサギは、世界中で化粧品の動物実験の代名詞となっており、動物実験をしていない化粧品を示す表示で最も使われているイメージです。ウサギは、モルモット、ラットやマウス等と共に、未だに消費者製品の眼や皮膚の試験に幅広く使われており、化粧品産業のために計り知れない苦痛を強いられています。

研究施設での飼養管理

研究施設での生活を強いられている多くの動物たちと同じように、動物実験で使われるウサギは自然の行動を表現できる機会を与えられていません。野生のウサギは、巣穴に大規模な集団で生活しています。ウサギはシャイで敏感な動物であり、日中はほとんど地中の暗がりで休んでおり、夜に食べ物を探すために活動します。元々夜行性の動物であるため、ウサギは光に敏感です。さらに、ウサギは鋭い聴覚を有しており、これにより捕食動物を察知します。

研究施設での生活環境は、自然の環境からはかけ離れたものです。多くの場合、研究施設のウサギは、何もないケージで各個体が隔離された状態で飼育されており、十分なスペースや環境エンリッチメントが与えられないまま、寂しく退屈な生活を強いられています。さらに、逃れられないまぶしい人工的な照明や、金属製のケージがぶつかり合う音やラジオからの大音量の音楽等の絶え間ない音等、ウサギの五感には常に過剰な付加がかかっている状態です。これら全ての要因は、敏感な動物であるウサギにストレスを与え、ストレスのため免疫が低下し、病気に感染しやすい状態を作り出します。また、金属のケージで生活するため、足に痛みや損傷が起き、これらのストレスに対処しようと自傷行為に至る場合もあります。

ウサギを使った試験

長年にわたり、ウサギは眼や皮膚のドレイズ試験において最も頻繁に使われています。これらの試験は1940年代に開発され、ウサギの眼に化学物質を点眼したり、毛を剃ったり擦りむいた皮膚に化学物質を塗布できるように、ウサギを全身の拘束具で押さえつけた状態で行われます。拘束具(固定器)を付けることにより、化学物質が及ぼす不快感を軽減しようと動物が眼や背中を触り、実験が阻害されることを防ぎます。ドレイズ試験は眼や皮膚への刺激や腐食を評価するために実施されますが、信頼性が低く、ばらつきの大きい結果が出ることで有名です。また、目の発赤、腫れ、潰瘍、さらには失明や、皮膚のひび割れや出血等を引き起こし、とても不快で苦痛を伴う試験です。

何故ウサギか?

ウサギを使う背景に、科学的理由はほぼありません。ウサギを使う背景には、小さく温厚で扱いやすい動物であり、基本的な基準を満たすだけであれば飼養管理が低コストであり、繁殖のスピードが速く、迅速に新たな実験動物を生産することができる等の、実用性に関する理由がほとんどです。また、ウサギには涙管がなく、人間と異なり、涙により眼から有害物質を流し出すことができません。このような理由から、ドレイズ試験でウサギを用いることにより、より多くの化学物質への長期間の暴露が可能になります。これが、ウサギがこの試験によく使われる主な理由の一つです。

代替法

ヒトの皮膚と同等の試験ができるEpiDerm™やEpiSkin™等を用いた方法が、有効であると科学的に評価されおり、皮膚の腐食や刺激に関する動物実験を完全に代替できるとされ、受け入れられています。さらに、SkinEthicという、皮膚刺激性試験において動物を代替できる方法も承認されています。また、牛摘出角膜を用いた眼刺激性試験代替法(BCOP法)やニワトリ摘出眼球を用いた眼刺激性試験法(ICE法)も評価され、眼刺激性試験において生きた動物を代替する方法として受け入れられています。細胞ベースのフルオレセイン漏出試験法もウサギの試験を完全に代替することはできませんが、眼刺激性試験に使われる動物を大幅に削減できるような段階的戦略の一部として使えます。またつい最近、日本の科学者らがヒトの角膜の細胞を使ったインビトロの眼刺激性試験の新たな方法を開発し、この方法も今後代替する際の新たな選択肢として期待されています。

これらのすでに活用できる代替法に加えて、動物実験の廃止を宣言した会社は、新たな試験データが必要な新規原料を回避することにより動物実験を避けることができます。このような、長い間安全に使用されている実績があり、新たな試験を全く必要としない原料は、何千も存在します。

リーピング・バニー

リーピング・バニーの基準は、カットオフ期限後に完成品、原料及び調合に対して動物実験を実施したり委託したりしないこと、またカットオフ期限後に動物実験が実施された新たな原料を購入しないことを企業に誓約させ、製品とその原料が動物実験されていないことを保証するものです。化粧品を購入する際は、ぜひ製品のラベルやインターネットのウェブページにおいてリーピング・バニーのマークが表示されているものをご購入ください。

また、ヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナルでも、日本で購入できる動物実験をしていない化粧品ブランドのショッピング・ガイドを公表しています。

Be Cruelty-Free

化粧品業界では多くのウサギが犠牲になっており、世界中で化粧品の動物実験を終わらせるための我々のグローバルなキャンペーンである”Be Cruelty-Free思いやりのある美しさキャンペーン”のイメージにウサギを選んだことは、少しも不思議なことではありません。Be Cruelty-Freeキャンペーンは、世界中で、ウサギやマウス、その他の動物が化粧品のために苦しんでいる現状を終わらせるための取り組みをリードしています。これらの動物たちは声を持っていませんが、Be Cruelty-Freeの誓約に署名し、世界中で化粧品の動物実験を終わらせるために我々のキャンペーンを支援していただくことにより、彼らの代弁者となることができます。

www.hsi.org/bcfjapan

Learn More Button Inserter