新たな報告書が、日本の農薬の要件における1年間のイヌの試験の 省略を支持

結果が規制に反映されれば、主要市場では韓国が唯一試験要件を残した国となる

ヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナル


  • arenacreative/istock

東京 – ヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナル(Humane Society International, HSI)は、長きにわたり日本の農薬規制において要件となっているビーグル犬を用いた1年間の反復投与毒性試験を、特定の条件下で省略できる十分な根拠を示した、食品安全委員会の委託研究の報告書の結論を歓迎した。

食品安全委員会や農林水産省等の農薬の規制当局が報告書の提言を受け入れれば、疑問視されているこの動物実験の世界的廃止に一歩近づくことになる。この試験は、すでにアメリカ、欧州連合、インド、ブラジル、カナダ、オーストラリア及び中国において、一連の試験要件から廃止されている。

HSI研究毒性学部門のシニア・ディレクターのトロイ・サイドルは、次のように述べている。「長期間に及ぶ農薬の毒性試験において、無条件にイヌを用い続けることが非人道的かつ消費者の安全を守るためには不必要であることが、科学により明確に示されました。科学的なレビューを委託した食品安全委員会の洞察力を称賛するとともに、当局がこの報告書に記された提言の運用に向けて具体的に取り組むことを期待します。」
1年間のイヌの試験について:

  • この試験においては、1年にわたり、ビーグル犬の群に、カプセル状のものを経口で、または食餌に混ぜた状態で、農薬に用いる化学物質が毎日投与される。その後、臓器等への損傷を評価するために、イヌは殺処分され、解剖される。
  • 今回の委託研究の報告書は、農薬評価書286剤を分析したものであり、95パーセント近くのケースにおいて、長期間のイヌの試験が、要件となっている他の試験の結果以上の、ヒトの安全量を判断するために必要な情報を貢献しないことが明らかなった。
  • 農薬の新規の有効成分(農薬の効果がある毒性を持った成分)を一つ登録するために、日本やその他の国では最大10,000匹ものげっ歯類、魚類、鳥類、ウサギや犬が何件もの毒性試験のために使われている。これらの試験の多くは、二つ以上の動物種を用いたり、二つ以上の暴露経路(経口投与、吸入、経皮等)で実施する等重複しており、その科学的な価値が疑問視されている。

報告書においては、稀ではあるが、他の動物種よりもイヌにおける感受性が高い場合等を含む、長期間のイヌの試験の要件を残すべき条件についても提言されている。

研究番号1501の「農薬の毒性評価における「毒性プロファイル」と「毒性発現量」の種差を考慮した毒性試験の新たな段階的評価手法の提言―イヌ慢性毒性試験とマウス発がん性試験の必要性について―」の報告書は、下記のリンクから閲覧できる。
https://www.fsc.go.jp/fsciis/technicalResearch/show/cho99920161501 

問い合わせ:

英語対応: キャサリン・ウィレット博士, kwillett@humanesociety.org
日本語対応: 山﨑佐季子, syamazaki@hsi.org

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