動物実験に関する科学者の発言集

ヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナル


1世紀に渡り、医薬品や化学物質の安全性評価はげっ歯類、ウサギ、イヌやその他の動物を用いた試験に基づいてきました。動物実験は、動物にとって多大な苦痛を伴うだけではなく、時間と資源がかかり、試験が実施できる化学物質の数も限られており、ヒトの体内で化学物質がどのように作用するかに関する理解にもつながりにくく、多くの場合、実生活における人間への影響を適切に予測することができません。

 

現在の薬剤損耗率では、動物実験において安全・効果的と評価された医薬品の9割は、人間において安全ではないか、効果がないことが判明しています。人間の健康に関するニーズに効果的に対応できない上に、莫大な額の貴重な健康関連の予算と何百万匹もの動物の命を無駄にする行為です。人間以外の動物において、実験室で人工的にヒトの疾患を「モデリング」することを目的とした研究の妥当性は、科学者により疑問視され始めています。

 

「動物を用いた研究で化学物質に毒性がないことが示されても、その化学物質の安全性は保証できない。」

アメリカ国家毒性プログラム バーバラ・シェーン博士 [1]

「人間を対象とした臨床試験の前の段階で治療法の候補を評価するために使われている現存する動物モデルは、多くの病状において限定的な予測力しかない。」

アメリカ食品医薬品局 [2]

「問題は、[動物実験の]結果が本当に意味するところがわからないということである。」

アメリカ国立環境衛生科学研究所 ロバート・マロンポット博士[3]

「正確かつ再現性をもってLD50を測定できたとしても、実験動物から得た結果をヒトに当てはめることは非常に難しいため、正確な測定値に関する知識は実用上ほとんど重要性を持たない。」

ドイツ バイエル D. ロルケ博士 [4]

「規制当局は人間の癌のリスクを予測するために動物実験を用いることを選択した。この目的を達成するために、動物実験から得たデータは、ヒトとその他の動物の生物学上の差異、暴露や統計の違い等を克服するため、あらかじめ考えられた仮定により精査されているが、これらの差異は実際には克服し難い。」

– G.B. ゴリ博士 [5]

「現在の技術水準では、動物実験から人間に対するリスクについて量的な評価をすることの科学的メリットは少ない。」

統計学者 デイビッド・フリードマン博士、ハンス・ザイセル博士[6]

「鉛、水銀やポリ塩化ビフェニルに関する動物を用いた研究は、それぞれ、ヒトに影響を及ぼす暴露レベルを1/100から1/100,000過小評価した。遺伝子的に類似した動物を用いて統制された実験室内の条件で実施された毒性学試験に大きく頼っている規制上の判断は、ヒトの脳の能力や複雑さと、遺伝子や環境の重要な相互作用に対して及ぼす危険性を反映できないままでいるであろう。」

社会的責任を果たすための医師団 [7]

「日常的に行われている動物実験に使われている100万、200万、300万ドルは、標準設定という観点からはほぼ無意味と言える世界中全ての動物を用いても、現在のやみくもな方法では全ての新規の化学物質に対応し、人間の健康被害に関して信頼できる結論に至ることは不可能である。我々は手詰まり状態にあるのである。この手詰まり状態は科学に深く根付いたもので、対応が求められる。」

ノーベル賞受賞者 ジョシュア・レーダーバーグ [8]


 1 Shane BS. Human reproductive hazards. Environmental Science and Technology 30, 1193 (1989). 

 2 FDA [Food & Drug Administration]. Challenge and Opportunity on the Critical Path to New Medical Products. Bethesda, MD: FDA (2004). 

 3 Maronpot R, cited in Brinkley J. Many say lab-animal tests fail to measure human risk. The New York Times, A-1 (23 May 1993). 

 4 Lorke D. A new approach to practical acute toxicity testing. Archives of Toxicology 54, 275-87 (1983). 

 5 Gori GB. The costly illusion of regulating unknowable risks. Regulatory Toxicology and Pharmacology 34, 205-12 (2001). 

 6 Freedman DA & Zeisel H. From mouse-to-man: the quantitative assessment of cancer risks. Statistical Science 3, 3-56 (1988).

 7 Physicians for Social Responsibility. In Harms Way: Toxic Threats to Child Development. Boston: PSR (2000). 

 8 Lederberg J. A challenge for toxicologists. Chemical Engineering News 1, 5 (1981).

 

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