動物を用いた試験

Humane Society International


化学物質や化粧品、殺虫剤や医薬品等の安全性を評価するために、動物を用いる試験が、まだ一般的に行われています。国や分野により試験の要件は異なりますが、安全性の評価が必要な新たな原料には、下記の試験のうちのいくつか、もしくは全て、場合によってはその他の種類の試験も実施されます。試験結果の妨げとなってしまう可能性があるため、通常、鎮痛のための処置は行われず、ほとんどすべての場合で動物は殺されます。

試験の種類

使われる動物

動物に施される処置

試験の目的

皮膚感作性試験

 
モルモット32 匹
もしくは マウス16 匹

モルモットの場合、試験物質は皮膚の表面に塗布されるか皮膚下に注入され、マウスの場合には、耳に塗布されます。動物の皮膚には、発赤、潰瘍、落屑、炎症やかゆみが出る場合があります。 皮膚のアレルギー反応のための試験
皮膚刺激性試験 ・腐食性試験


ウサギ1-3 羽

試験物質は、毛を剃ったウサギの皮膚に塗布されます。動物の皮膚には、発赤、発疹、病斑、落屑、炎症や、その他の損傷の症状が出る場合があります。  皮膚への刺激 (皮膚への可逆的な損傷) 及び皮膚への腐食性(皮膚への重度かつ不可逆的な損傷)のための試験
 眼刺激性試験・腐食性試験


ウサギ1-3 羽

 試験物質は、ウサギの眼に点眼されます。眼には、充血、出血、潰瘍、失明や、その他の損傷の症状が出る場合があります。   眼への刺激(眼への可逆的な損傷)と眼への腐食性(眼への重度かつ不可逆的な損傷)のための試験
  急性経口毒性試験

 


ラット7 匹

 試験物質は、注射器を使いラットの喉から流し込まれます。動物には、下痢、痙攣、口からの出血、発作、麻痺等の症状が出る場合があり、最終的には死に至る場合があります。 試験物質を飲み込んでから、物質が与えられた動物の半数が14日間で死亡する物質の量を評価するための試験
急性経皮毒性試験


ラット、ウサギ、もしくは
モルモット30匹

 試験物質は、ラット、モルモット、もしくはウサギの剃った皮膚に塗布され、動物が試験物質を舐めたり取り除かないようにするために、その部分をパッチで覆います。 試験物質を皮膚に塗布して24時間経過後、物質が与えられた動物の半数が14日間で死亡する物質の量を評価するための試験
 急性吸入毒性試験


ラット20~40 匹

 ラットは、全身拘束され、試験物質を吸入させられます。動物には、鼻からの出血、痙攣、麻痺、発作等の症状が出る場合があり、最終的には死に至る場合があります。 試験物質を吸入してから、物質が与えられた動物の半数が、14日間で死亡する物質の量を評価するための試験
 亜急性毒性試験・亜


ラット40 匹 (14~28 日)
もしくはラット80匹

 ラットは、14日、21日、28日、90日、もしくは180日間、毎日試験物質を強制経口投与させられるか、物質を強制吸入させられるか、もしくは物質を皮膚に塗布されます。暴露期間が終わると、臓器の状態を観察するため動物は殺されます。 繰り返し暴露されることによる細胞や臓器の変化を評価する試験
 慢性毒性試験


ラット120 匹

   ラットは1年間、もしくはそれ以上の期間、毎日試験物質を強制経口投与させられるか、物質を強制吸入させられるか、もしくは物質を皮膚に塗布されます。暴露期間が終わると、臓器の状態を観察するため動物は殺されます。  暴露後の組織や臓器における物質の吸収、分布や代謝を測定するための試験
 発がん性試験


マウス400 匹 とラット 400 匹

 マウスは、水や食餌に物質を入れるか、物質を強制経口投与されるか、物質を皮膚に塗布されるか、もしくは物質を吸入させられるかして、試験物質に暴露されます。2年間毎日暴露された後、組織においてがんの兆候(もしくはその他の毒性の兆候)を観察するために、動物は殺されます。

がんや暴露によるその他の長期的な影響を評価するための試験

 トキシコキネティクス(薬物動態試験)


ラット4~12 匹

  ラットは、水や食餌に物質を入れるか、物質を強制経口投与されるか、物質を皮膚に塗布されるか、もしくは物質を吸入させられるかして、試験物質に暴露されます。物質によって、暴露は1回から複数回に及びます。血中における物質のピーク濃度を調べるために、毎日動物から採血されます。動物は特定の時期に殺されますが、時間の経過とともに物質がどのように身体の中を移動するかを記録するために、各動物は、異なる時点で殺されます。  暴露後の組織や臓器における物質の吸収、分布や代謝を測定するための試験
  生殖毒性試験


ラット1,400~2,600 匹

  成熟したオスとメスは、通常強制経口投与により試験物質に最低2週間暴露され、それから交配させます。妊娠したラットは妊娠中と授乳中も物質に暴露され、その後、殺されます。出生児は、離乳後も一生強制経口投与をされ、時には体重減少や痙攣等の慢性の中毒症状が出ることもあります。性成熟まで生存した出生児は、交配させられ、第二世代の妊娠・授乳期中も、強制経口投与が続けられます。第二世代の離乳期に全ての動物が殺され、組織が観察されます。  生殖・繁殖能力への影響や出生異常を評価するための試験
 発生毒性試験 (出生異常の試験)


ウサギ660 匹 (成熟したメス100 匹と胎児560匹)もしくはラット1,300 匹 (成熟したメス100 匹と胎児1,200 匹))

妊娠中のメスは、通常強制経口投与により、妊娠開始時期から妊娠中ずっと試験物質に暴露されます。妊娠しているメスは予定日前日(ラットの場合、平均して22日目、ウサギの場合、平均して31日目)に殺されます。胎児は取りだされ、発育異常の兆候が評価されます。 出生異常を評価するための試験.
 遺伝毒性試験・変異原性試験*


マウスもしくはラット80~500 匹

 マウスやラットを使う遺伝子変化の試験はいくつかあります。一般的なものでは、動物は最低14日間、毎日試験物質を強制経口投与されます。骨髄や血液のサンプルが採取され、遺伝子の変化が観察されます。 がんの初期段階に関する評価の試験

*想定される危険性や実施される試験によって、変異原性試験は、一連のin vitro (動物を使わない)試験と動物を用いた試験で構成されます。


動物実験に使われる動物に関しては、詳しくは
hsi.org/endanimaltesting をご覧ください

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